教職大学院の目的
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実践的問題解決能力の向上を目指す学び続ける教育の期待に応える
教員の経験年数に著しく偏りのある神奈川県内の学校では、従来のように、管理職やベテラン教員が中心となって指導技術などを伝授する形の教員の育成は困難な状況であり、職場における同僚性を生かした学びを支え合う関係の中での教員育成が急務といえます。その観点から、「理論と実践の往還」(中央教育審議会「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的向上方策について(答申)」平成 24 年)に基づいて、学校経営の中核として活躍できる中核的中堅教員の養成と学び続ける意欲を持ち積極的に学校づくりに参画できる若手教員の養成が極めて重要な課題となります。
そこで、本教職大学院は同僚性を構築あるいは活性化させ、学校や地域が抱える諸課題に対して中心となって活躍できる次のような人材の養成・育成を目的とします。
- 学校や地域が抱える教育課題を認識かつ分析し、適切な教育・研究資源を活用しつつ、教員相互の同僚性を構築あるいは活性化して、課題解決のプロセスで学校や地域のリーダーとして活躍し、自らも成長する中核的中堅教員
- 実践者として学び続けることと研究能力を身に付けることを通して、自ら教育実践上の問題を発見し、その解決に努めるとともに、学校経営の視点も自覚しながら、同僚性を支える一員として、新しい学校づくりに積極的に参画できる新人教員
こうした人材養成・育成の際に、地域・学校の抱える教育課題を取り上げ、その解決のプロセスに、メンタリング(主にカリキュラム、学習環境デザイン、生徒指導・教育相談、学級・学校経営、特別支援教育の各領域の知見を応用し、教職実践を同僚として支援し合い高度化すること)の理念・方法を導入し、理論と実践の往還(大学での学修と学校実習の往還)を通して、「学び続ける教員」と「学びを支える教員」による「学び合いの関係性」を理論と実践の往還(大学での学修と学校実習の往還)を通して連携協力校の中に醸成していく。つまりこれまで層の厚いベテラン教員に主導されて行われてきた日常的・経験的な同僚の教育実践を支え合う活動を、本教職大学院では、研究的・実践的知見から補強し、体系化・高度化することで、効果的・効率的に「同僚性を高め、学びを支え合う」関係性を学校の中に再構築してくことを目指しています。
メンタリングの理念・方法の導入は、単に一学校の抱える教育課題の解決だけでなく、地域や他の学校への課題解決と同僚性活性化の手法の波及効果も期待できます。本教職大学院が目指すのは、そうしたメンタリングの理念・方法を通して、種々の教育課題の解決とともに、世代交代の急激な神奈川県下において、新しい学校づくりを支える「高度専門職としての教員」の資質能力の向上を図ることにあります。
理論と実践の往還
現職教員学生には、学校や地域のスクールリーダーとして活躍できる高度専門職として、実践知を理論によりさらに高度化し、責任感と意欲を高めることができるカリキュラムを、学部新卒学生には、新しい学校づくりの一員として活躍できる専門職として、理論と実践の往還により確かな力として定着させ、学び続ける意欲をもった人材を育成するカリキュラムを提供しています。また、教職大学院教員養成・育成スタンダードに基づくカリキュラム編成になっており、各科目を通しての学びとリフレクションをポートフォリオに蓄積しながら、スタンダードの項目の達成を目指した学びに取り組みます。
さらに、大学での講義・演習とともに、連携協力校を中心とした課題解決に取り組み、現場を理論的に観る力と同時に理論を現場の知恵で問い直していくような学習が期待され、さらに、研究者教員・実務家教員・現職教員学生・学部新卒学生の交流による人の往還をきっかけに、互いの知恵が結びつき、還流し、変化が動き出すような、教員養成と教員研修と教育研究と教育実践が同時に生起するような学習環境の構築を目指しています。
カリキュラムは、メンタリング能力を発揮して学校の課題の解決に対応することができる教員の育成を目指して構成されています。履修できる科目は「共通科目」「選択科目」「学校実習科目」「学校課題解決研究」に大別されます。そして、学校課題解決研究を通して、全ての科目の学びを、理論と実践の往還の中でさらに深めることができるようになっています。